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こころを旅する数学 : 直観と好奇心がひらく秘密の世界 / ダヴィッド・ベシス著 ; 野村真依子訳
請求記号:410.4:B 39
公開日:2024/03/06
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レビュアー:中島 美帆
「数学が苦手」と思い込んでいませんか
★★★★★
数学が苦手だから文系に進んだ、という人が多いそうです。理学部の教員としては「数学はおもしろいのに、もったいないな」と感じますが、では私自身が「ずっと数学が得意だ」と胸を張れるかと言えばそうではなく、物理を専門にしながらも、しっかり数学コンプレックスを抱えています。また、理学部生でも数学が苦手、という人は意外と多く、専門の勉強でつまづく人もいます。そんな人には「物理で使う数学に限ればそんなに難しいことはないよ」「数学は道具として使えればいいよ」などとアドバイスすることが多いのですが、これも本当に正しいのか自信がなくなる時もあり、そもそも悩んでいる人にとっては空々しく響き「数学が得意な人はそう言うけど・・・」とますます不信感を持つ原因になっているかもしれません。そんな風に悩んでいるときに、新聞の書評欄がきっかけで読み感動したのがこの本です。
この本を読んで、数学が分かる、ということのぼやっとしたイメージがとてもクリアになりました。数学を分かることは、泳ぐことや自転車に乗ることと同じ、方法を学べば必ずできるようになること。人より分かるのが遅くても、理解する能力とは関係ないこと、数学者もすぐ理解できるわけでないこと。そして、数学はやっぱりおもしろくて素敵なワクワクするもの、ということ。
「数学が苦手」はもったいない!文系の学生さんにも是非読んでもらいたいと思います。
ある地方官吏の生涯 : 木簡が語る中国古代人の日常生活 / 宮宅潔著
請求記号:222.04:Mi76
公開日:2024/01/19
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レビュアー:新津 健一郎(人文学部・東洋史)
紀元前の「地方公務員」
★★★★★
歴史は人間の活動の積み重ねです。王侯や武将だけが歴史を作るわけではないし、高校教科書で太字になりがちな事件・戦乱・制度だけがその構成要素というわけでもありません。この本では、偶然発見された出土資料をもとに秦代(紀元前3世紀、現在から2200年と少し前)の地方官吏の生涯を再構成し、その一生を追う形で出生・古籍・家族形態・教育・行政制度・軍事・死生観といったテーマが提示されます。「地方公務員」として生きた人物の目線で古代の社会やその日常を知ることができます。
人間の本質にせまる科学 : 自然人類学の挑戦 / 井原泰雄, 梅﨑昌裕, 米田穣編
請求記号:469:N76
公開日:2023/12/15
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レビュアー:新津 健一郎(人文学部 東洋史)
われわれは何者なのか?
★★★★★
「人間」とは何なのでしょう。大学で過ごすなかで、そのような疑問をふと感ずることはないでしょうか。本書は、自然人類学をベースに、いわゆる文系・理系の区切りを取り払い、生物としてのヒト・遺伝・身体機能・知覚・食性・生業・文化など様々な観点から「人間の本質」を明らかにしようとするものです。大学1・2年生向けの教養講義をもとにしているため(ちなみに、私も学生時代にその授業に参加しました)、専門的な内容についても平易に書かれています。
ノイマンの夢・近代の欲望 : 情報化社会を解体する / 佐藤俊樹著
請求記号:007.3:Sa85
公開日:2023/11/29
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レビュアー:松宮 慎治(高等教育研究センター)
DXという虚構
★★★★★
インターネットをはじめとして,この30年間,さまざまな技術革新が起きてきたはずです.にもかかわらず,なぜわたしたちの日々は楽にならないのでしょうか.むしろ,忙しくなりつづけている気すらします.そのような,「テクノロジーが,社会を変える」論に疑問を抱いたことはないでしょうか.約30年前に発刊された本書は,情報技術の革新によって訪れるであろう「情報化社会」が,実は近代産業社会が内部に孕む,空虚な幻想に過ぎないことを喝破しています.逆にいえば,我々が近代産業社会の延長に生きているからこそ,「情報化社会」の夢を見続けているというわけです.当時の「情報化社会」は,今ではさしずめ「DX」に置き換えられるかもしれません.一般的によくいわれることを,違う角度から照らし直すという,社会学のシニカルな面白さがわかる一冊です.
アライバル / ショーン・タン著
請求記号:726.5:Ta83
公開日:2023/05/11
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レビュアー:巽 広輔(理学部 化学)
言葉の壁を越えて
★★★★★
一冊を通して言葉のない絵本。若いころ、身寄りのいないデンマークを一人でうろついた時のことを思い出した。きっと誰にとっても、海外経験の第一歩とはこのようなものだろう。理学部国際交流室長として推薦の一冊。
論文図表を読む作法 : はじめて出会う実験&解析法も正しく解釈! : 生命科学・医学論文をスラスラ読むためのFigure事典 / 牛島俊和, 中山敬一編集
請求記号:電子ブック
公開日:2023/03/14
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レビュアー:太田 浩良(検査技術科学専攻)
論文図表を読む作法
★★★★★
生命科学・医学論文に頻出する実験と解析法について、詳しいプロトコールは省き、図表から「何がわかるのか」を1項目につき2〜3ページで、簡潔にわかりやすく解説した、図表を「読む」ことに特化した図表事典です。特に、生命科学・医学論文を読み始めたばかりの卒論生・大学院生におすすめです。
多様性の内分泌学 : ホルモンの統合的理解のために / 竹井祥郎, 溝口明著
請求記号:電子ブック
公開日:2023/03/14
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レビュアー:山田 充彦(分子薬理学)
多様性の内分泌学
★★★★★
本書は、比較内分泌学の教科書である。内分泌は生体のホメオスタシスを維持するシステムであり、内分泌学は医学で重要である。しかし医学は、ヒトの疾病を克服するための学問であり目的志向的になりがちである。しかし真の意味での目的達成には、システムの本質的かつ俯瞰的理解が不可欠である。比較内分泌学は、広く脊椎・無脊椎動物の内分泌を検証し、俯瞰的に内分泌現象の本質をあぶりだす。医学生は本書を紐解いて、一次元高度な内分泌学を習得して欲しい。
アレルギー診療重要基礎知識40 / 永田真編
請求記号:電子ブック
公開日:2023/03/14
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レビュアー:北口 良晃(内科学第一)
アレルギー診療重要基礎知識40
★★★★★
アレルギー診療は単一の診療科のみで完結するものではなく、同一の患者において複数のアレルギー疾患を発症することもあり、全身的・包括的に管理・治療を行う必要がある。複数の診療科にまたがるため初学者にとってわかりやすい教科書が少ない現状がある。本書ではアレルギー診療に必要な特に重要な知識を40項目に分けて、わかりやすく、かつ詳しく解説しており、アレルギー診療に携わる者にとって非常に有用な書と言える。
Rによるデータ分析のレシピ / 舟尾暢男著
請求記号:電子ブック
公開日:2023/03/14
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レビュアー:和田 洋典(内科学第一)
Rによるデータ分析のレシピ
★★★★★
統計ソフトR(R&Rstudio)で実際にデータを解析したり作図をするための解説書です。臨床研究などを行う際、ご自身で集めたデータをRを用いて解析したいときに、参考になると思います。Rの解説書を終業後疲れているときに読むと、スクリプトが多すぎると眠くなりますし、統計の解説文が多すぎてもやはり眠ります。本書ぐらいの塩梅が、私のようなプログラミングも数学も苦手な者にとってはぎりぎり眠らずに読めてちょうど良かったです。お疲れ様ですが、本書を参考に、或いは時に枕にして、どうぞRを楽しんでください。
リエゾン : こどものこころ診療所 / 竹村優作原作 ; ヨンチャン漫画
請求記号:726.1:Ta 63
公開日:2023/03/14
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レビュアー:杉山 暢宏(作業療法学専攻)
リエゾン : こどものこころ診療所
★★★★★
保健学科で精神医学の教育を担当して7年になる。まだ臨床に出たことがない学生に現場の雰囲気を伝えるのは、なかなか難しい。何か良い教材がないかと模索する中で本書に出会った。竹村氏の入念な取材に基づく力のこもったストーリーと、ヨンチャン氏の美しい漫画が実に魅力的で読み応えがある。漫画なので多少の誇張が見られるが、専門家の監修が入っており、精神科医の評者が読んでも異和感のない範囲である。是非読んで欲しい。
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